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新しい作品です。

女性の視点で描かれる

心の奥でとまどう 想い
心の奥にたたずむ 想い
心の奥から歩き始めた 想い

彼女たちのたどり着く場所は?



想いは今、どこに? から



『準備してなかった夜』


タイプではない彼からの告白
最初は災難だと・・


衝撃の大きかった別れからまだ半年
沈んだ気持ちが 寂しさに押されてデートを受け入れた


笑い方 話す癖 好きな食べ物 みんな前の彼と違っていた
空いたスケジュールが寂しさをごまかすために埋められる


気温3℃ 横殴りの雨 わざと傘を忘れたと彼に告げる
優しさを受け入れられない私に 意地悪な心がわずかに勝つ


土砂降りの中 会社近くの待ち合わせ場所
小さな傘で彼はポツリと立っていた
片手にビニール傘 稲光がビルを照らす


お気に入りのオレンジの傘をさして彼に近づく
「あっ・・傘・・持ってたんだ・・」


全身はびっしょり 声も少し震えていた


「・・バカなんじゃないの!何でまだ 待ってんの?!」
待ち合わせの時間から1時間経っていた


「・・君が傘忘れたって・・」


「僕には今 それくらいしか出来ないから・・」


「それくらいって・・」


「そう・・それくらいしか・・」


あなたのこと・・全然好きじゃないって・・
心で呟いたはずが 思わず口からこぼれた
なぜか瞳がうるんでくる


知ってるから・・ずっと知ってるから
雨にかき消されそうな彼の声
ほんのわずかな笑み 柔らかなまなざし

    
2つの傘が静かに近づく

     
準備してなかった夜

     
今日で終わらせようと思った 悲しみを紛らわす時間
気づかないうちに 塗り替えられていた想い

     
二人の吐く息が白く宙を舞う
初めて感じる彼の肩 そっと私の頬を受け止めた


準備してなかった夜は
これからの未来を用意させた









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2017.01.18 Wed l 想いは今、どこに? l コメント (0) l top

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